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2025.11.13

歯ぐきから血が出る…それは歯周病の初期サインかも?放置してはいけない理由と正しい対処法

こんにちは。愛知県津島市の歯医者、たかしま歯科 院長の高嶋 俊裕です。

毎日の歯みがきの最中、ふと洗面台に吐き出した水がピンク色に染まっていたり、鏡を見たら歯ブラシに血がついていたりして、ドキッとした経験はありませんか。あるいは、硬いリンゴなどをかじった時に、歯ぐきから血が出たことはないでしょうか。痛みがない場合、つい「たまたま強く磨きすぎたのかな」「疲れているからかな」と自己判断して、そのまま様子を見てしまう方が非常に多くいらっしゃいます。しかし、健康な歯ぐきであれば、通常の歯みがき程度の刺激で出血することはまずありません。

先日も、初診の患者様からこのようなご質問をいただきました。「歯みがきで毎回出血します。痛みはないのですが、すぐ治療が必要ですか?しばらく放っておけば治るでしょうか?」

結論から申し上げますと、繰り返す出血は、お口の中で何らかの異常が起きている、体からの重要なSOSサインです。その原因の90パーセント以上は、成人の約8割が罹患していると言われる「歯周病(歯肉炎・歯周炎)」です。痛みがないからといって放置してしまうと、気づかないうちに病気が進行し、将来的に歯を失う大きな原因となってしまいます。今回は、なぜ歯ぐきから血が出るのか、そのメカニズムと危険性、そして出血を止めて健康な歯ぐきを取り戻すための正しい治療法とセルフケアについて、専門家の視点から詳しく解説していきます。

目次

  1. 歯みがきで出血するのはなぜ?健康な歯ぐきと病気の歯ぐきの決定的な違い
  2. 痛みがないのが一番怖い!静かに進行するサイレントキラー「歯周病」の恐怖
  3. 口の中だけではない!歯周病が全身の健康に及ぼす深刻な悪影響
  4. 出血を止めるための第一歩!歯科医院で行うプロフェッショナルケアの内容
  5. 間違った歯みがきが出血を招く?今日からできる正しいセルフケアのポイント
  6. まとめ

1. 歯みがきで出血するのはなぜ?健康な歯ぐきと病気の歯ぐきの決定的な違い

まず、ご質問いただいた「すぐ治療が必要か」という点ですが、毎回出血がある場合は、できるだけ早めに歯科医院を受診することをお勧めします。なぜなら、出血は歯ぐきが炎症を起こし、組織が破壊され始めている証拠だからです。

健康な歯ぐきは、引き締まった薄いピンク色をしており、指で触ると弾力があります。歯と歯ぐきの間の溝(歯肉溝)も浅く、歯ブラシが当たっても簡単には出血しません。これは、歯ぐきの表面が丈夫な皮膚のような組織で守られているからです。

一方、歯周病(初期の歯肉炎を含む)にかかっている歯ぐきは、赤く腫れぼったくなり、ブヨブヨとした感触になります。これは、歯と歯ぐきの境目に残った「プラーク(歯垢)」が原因です。プラークは単なる食べカスではなく、細菌の塊です。この細菌が毒素を出し、歯ぐきを攻撃し始めると、体は細菌と戦うために血液を集めます。その結果、歯ぐきの毛細血管が拡張し、充血して腫れ上がるのです。さらに炎症が進むと、歯と歯ぐきの内側の皮がめくれて、いわゆる「潰瘍(かいよう)」の状態になります。これは、皮膚で言えば擦りむいて血が滲んでいる傷口と同じ状態です。お口の中なので目には見えにくいのですが、歯周病の方の歯ぐきの内側は、常に生傷が絶えない状態になっていると考えてください。そのため、歯ブラシの毛先が少し触れただけのわずかな刺激でも、脆くなった血管が破れ、出血してしまうのです。「血が出るから」といって歯みがきを優しくしすぎたり、その部分を避けたりすると、原因であるプラークがさらに蓄積し、炎症が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。出血は、細菌と戦っている証拠であり、同時に「ここが汚れていますよ」という体からの合図でもあるのです。

2. 痛みがないのが一番怖い!静かに進行するサイレントキラー「歯周病」の恐怖

歯ぐきからの出血を放置してしまう最大の要因は、「痛みがないこと」にあります。虫歯であれば、冷たいものがしみたり、ズキズキ痛んだりといった分かりやすい症状が出るため、多くの方が「歯医者に行かなければ」と思います。しかし、歯周病は「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれるほど、自覚症状が乏しいまま静かに進行する病気です。

初期段階である「歯肉炎」では、炎症は歯ぐきのみに留まっています。この段階であれば、適切なプラークコントロール(歯みがきやクリーニング)を行うことで、完全に元の健康な状態に戻すことができます。しかし、ここで出血のサインを見逃し、放置してしまうと、病気は次のステージである「歯周炎」へと移行します。

歯周炎になると、炎症は歯ぐきを超えて、歯を支えている土台である「歯槽骨(しそうこつ)」にまで及びます。細菌が骨を溶かし始め、歯と歯ぐきの間の溝が深くなり、「歯周ポケット」が形成されます。このポケットの奥深くは、酸素を嫌う歯周病菌にとって絶好の隠れ家となり、さらに活発に繁殖して骨を破壊し続けます。恐ろしいことに、骨が溶けている間も、強い痛みを感じることはほとんどありません。

そして、ある日突然、「歯がグラグラする」「硬いものが噛めない」「歯茎から膿が出る」「口臭がひどい」といった症状が現れます。患者様が異変に気づいて来院された時には、すでに歯を支える骨の大半が失われており、保存が不可能で抜歯せざるを得ない、というケースも決して珍しくありません。日本人が歯を失う原因の第一位が虫歯ではなく歯周病である理由は、この「気づきにくさ」にあるのです。だからこそ、初期のサインである「出血」を見逃さず、その段階で食い止めることが、ご自身の歯を一生守るための分岐点となるのです。

3. 口の中だけではない!歯周病が全身の健康に及ぼす深刻な悪影響

「たかが口の中の病気でしょ」と思われるかもしれませんが、近年の研究により、歯周病は口の中だけの問題に留まらず、全身の健康に深刻な悪影響を及ぼすことが明らかになってきました。歯ぐきの出血は、歯周病菌や、炎症によって作られた有害物質(サイトカインなど)が、血管を通って全身にばら撒かれる入り口となってしまうのです。

最も関連が深いのが「糖尿病」です。歯周病は糖尿病の第6の合併症とも言われています。歯周病菌が出す毒素が、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きを阻害し、糖尿病を悪化させることが分かっています。逆に、糖尿病の方は免疫力が低下しているため歯周病になりやすく、まさに負のスパイラルに陥りやすい関係にあります。しかし、歯周病を治療することで、血糖値のコントロール状態を示すHbA1cの数値が改善することも報告されています。

また、「心疾患(狭心症・心筋梗塞)」や「脳血管疾患(脳梗塞)」のリスクも高まります。血管内に入り込んだ歯周病菌が、動脈硬化を誘導する物質を出したり、血管内で血栓(血の塊)を作りやすくしたりすることで、血管を詰まらせる原因となるのです。

さらに、ご高齢の方にとって命に関わる「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」も、お口の中の細菌が原因の一つです。唾液と一緒に歯周病菌が気管に入り込み、肺で炎症を起こします。 妊娠中の方にとっても、歯周病は危険です。炎症物質が子宮の収縮を促し、「早産」や「低出生体重児出産」のリスクを、喫煙や飲酒以上に高めるというデータもあります。

このように、歯ぐきからの出血を放置することは、将来的な全身の病気のリスクを高めることと同義です。ご自身の健康寿命を延ばすためにも、歯周病の治療と予防は、全身の健康管理の一環として捉える必要があります。

4. 出血を止めるための第一歩!歯科医院で行うプロフェッショナルケアの内容

では、歯ぐきからの出血を止め、歯周病を治すためにはどうすれば良いのでしょうか。ご自宅での歯みがきももちろん重要ですが、一度形成されてしまった歯石や、深い歯周ポケットの中の細菌は、ご自身の力だけでは取り除くことができません。そこで必要になるのが、歯科医院での専門的な治療(プロフェッショナルケア)です。

まず、初診時にはレントゲン撮影や「歯周ポケット検査」を行い、歯周病の進行度を正確に診断します。歯周ポケット検査では、プローブという器具を使って溝の深さを測ると同時に、出血の有無を確認します。この検査での出血は、その部位に炎症があるという確実な証拠となります。

治療の基本は、原因であるプラークと歯石の徹底的な除去です。 スケーリング:超音波スケーラーなどの専用器具を使って、歯の表面や歯ぐきの縁に付着した歯石を除去します。歯石はプラークが石灰化して硬くなったもので、表面がザラザラしているため、さらなる細菌の温床となります。これは歯ブラシでは絶対に取れません。 ルートプレーニング:歯周病が進行し、歯ぐきの奥深くにまで歯石が付着している場合は、局所麻酔をした上で、歯根の表面についた汚染物質を取り除き、ツルツルに仕上げる処置を行います。これにより、歯ぐきが再び歯に密着しやすくなります。

これらの治療を行うと、一時的に出血が増えることもありますが、原因物質が取り除かれることで、通常1週間から2週間程度で歯ぐきの炎症は治まり、出血も止まってきます。腫れが引くことで歯ぐきが引き締まり、健康なピンク色を取り戻すことができます。 重度の場合は、歯ぐきを切開して清掃する外科手術(フラップ手術)や、失われた骨を再生させる治療(歯周組織再生療法)が必要になることもありますが、基本は徹底したお掃除です。当院では、患者様一人ひとりのお口の状態に合わせた治療計画を立て、歯科衛生士と連携して丁寧に治療を進めていきます。

5. 間違った歯みがきが出血を招く?今日からできる正しいセルフケアのポイント

歯科医院での治療と並行して、絶対に欠かせないのがご自宅での「セルフケア」です。どれだけ完璧にクリーニングをしても、毎日の食事で汚れは再び付着します。その日の汚れをその日のうちに落とすことが、再発を防ぐ唯一の方法です。しかし、「毎日磨いているのに血が出る」という方の多くは、磨いているつもりで「磨けていない」、あるいは「磨き方が間違っている」ことがほとんどです。

まず、歯ブラシの選び方です。出血がある時は、「やわらかめ」の毛先の歯ブラシを選んでください。硬い毛先でゴシゴシ磨くと、弱っている歯ぐきを傷つけ、さらなる炎症や歯肉退縮(歯ぐき下がり)を招きます。

次に、磨き方です。歯周病予防に最も効果的なのは、歯と歯ぐきの境目を狙って磨くことです。歯ブラシの毛先を歯ぐきに対して45度の角度で当て、小刻みに振動させるように優しく動かします(バス法)。力を入れる必要はありません。100gから200g程度の、毛先が広がらないくらいの弱い力で十分です。大きく動かすと隙間に毛先が入らないため、1本〜2本ずつ丁寧に磨くイメージで行ってください。

そして、最も重要なのが「歯間ケア」です。歯周病や歯ぐきの炎症は、歯ブラシが届かない「歯と歯の間」から始まることがほとんどです。デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシを必ず併用してください。特に歯間ブラシを通した時に出血する場合は、そこに炎症がある証拠です。血が出るからといって止めるのではなく、毎日優しく通し続けることで、徐々に炎症が治まり、出血もしなくなります。

「出血=触ってはいけない」ではありません。「出血=汚れが溜まっているサイン」と捉え、鏡を見ながら、出血している場所こそ、優しく、かつ念入りにケアをしてあげてください。当院では、患者様のお口に合った歯ブラシや補助用具の選び方、動かし方を指導するブラッシング指導にも力を入れています。自己流の磨き方を見直すだけでも、歯ぐきの状態は劇的に改善します。

6. まとめ

歯ぐきからの出血について、その原因と対処法を解説しました。

  1. 歯みがき時の出血は、歯周病(歯肉炎・歯周炎)の初期サインであり、健康な歯ぐきからは出血しません。
  2. 歯周病は痛みなく進行し、骨を溶かして歯を奪うだけでなく、糖尿病や心疾患などの全身疾患にも悪影響を及ぼします。
  3. 出血を止めるには、歯科医院での歯石除去(スケーリング)などのプロフェッショナルケアが不可欠です。
  4. ご自宅では、やわらかめの歯ブラシを使い、歯間ブラシやフロスを併用して、原因であるプラークを除去し続けることが重要です。

「血が出るけれど痛くないから」と放置している今この瞬間も、歯を支える骨は少しずつ失われているかもしれません。しかし、早めに対処すれば、歯周病は必ずコントロールできる病気です。 愛知県津島市のたかしま歯科では、皆様の大切な歯を守るため、歯周病治療と予防歯科に力を入れています。「最近、血が出るな」と感じたら、それは体が発しているSOSです。手遅れになる前に、ぜひ一度当院までご相談ください。私たちと一緒に、出血のない健康な歯ぐきを取り戻しましょう。

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