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2026.01.27

MRC(マイオブレース)矯正とは?子供の口呼吸・舌癖を治して歯並びを整える「原因療法」を徹底解説

こんにちは。愛知県津島市の歯医者、たかしま歯科 歯科医師 院長の高嶋俊裕です。

大切なお子様の寝顔を見ているとき、「お口がポカンと開いているな」と気になったことはありませんか?あるいは、食事の時にお水で流し込むように食べていたり、くちゃくちゃと音を立てて食べていたりすることはないでしょうか。実は、こうした日常の何気ない癖や習慣が、お子様の将来の「歯並び」や「顔つき」、さらには「全身の健康」にまで深刻な悪影響を及ぼしている可能性があります。

近年、小児矯正の分野で注目を集めているのが「MRC矯正(マイオブレース矯正)」という治療法です。これは、従来のワイヤーや拡大床を使って歯を機械的に動かす矯正とは全く異なるアプローチをとる治療システムです。「マウスピースをつけるだけで歯並びが良くなるの?」「ただのトレーニングで本当に治るの?」と疑問に思われる親御さんも多いかと思います。情報が溢れる中で、我が子に最適な治療法を選ぶのは簡単なことではありません。

結論から申し上げますと、MRC矯正は「歯並びを治す」ことだけを目的とした治療ではありません。「歯並びが悪くなってしまった根本的な原因(口呼吸や舌の癖など)」を取り除き、お子様が本来持っている正しい成長発育の軌道に戻してあげるための「予防矯正」プログラムです。この治療の本質を理解することは、お子様の一生モノの健康を守るための大きな一歩となります。今回は、MRC矯正の仕組みや従来の矯正との決定的な違い、メリット・デメリット、そしてなぜ口呼吸を治す必要があるのかについて、歯科医師の視点から専門用語を使わずに分かりやすく、かつ詳細に解説していきます。

目次

  1. MRC(マイオブレース)矯正とは何か?定義と治療の仕組み
  2. 従来の小児矯正(床矯正・ワイヤー)とはここが違う!対症療法と原因療法の差
  3. なぜ「口呼吸」と「舌癖」で歯並びが悪くなるのか?筋肉と骨の深い関係
  4. 治療の効果を最大化するための適齢期と、向いている子・向いていない子
  5. 治療を受けることによる身体的・経済的・精神的なメリットとデメリット
  6. よくある質問(Q&A)と治療成功の鍵を握る家庭での役割
  7. まとめ

1. MRC(マイオブレース)矯正とは何か?定義と治療の仕組み

MRC矯正とは、オーストラリアのMyofunctional Research Co.(MRC社)によって開発された、成長期の子どもを対象とした矯正治療システムの総称です。日本では「マイオブレース矯正」とも呼ばれますが、正式には「不正咬合(悪い歯並び)の原因となる口腔習癖(お口周りの悪い癖)を改善し、顎の適切な成長発育を促す治療」と定義されます。

この治療システムは、大きく分けて2つの要素から成り立っています。 1つ目は、「マイオブレース」と呼ばれる専用のマウスピース型矯正装置の使用です。これは、既製品のシリコンやポリウレタン素材でできており、柔らかく弾力があります。患者様ごとの歯型を取って作るオーダーメイドのものではなく、お口の大きさや歯並びの状態に合わせてサイズを選択します。この装置の特徴は、歯を無理やり動かすためのものではなく、舌を正しい位置(上顎の天井部分)に誘導したり、唇を閉じる力を鍛えたり、間違った飲み込み方を防いだりするための「機能的なガイド」の役割を果たす点にあります。日中1時間と就寝時に装着することで、無意識に行っている悪い癖を矯正していきます。

2つ目は、「アクティビティ」と呼ばれる口腔筋機能トレーニング(MFT)です。装置をつけるだけでは、長年染み付いた筋肉の癖はなかなか治りません。そこで、専門のスタッフ指導のもと、呼吸の仕方、舌の動かし方、飲み込み方、姿勢などを正すためのトレーニングを毎日行います。これによって、正しいお口の使い方を脳と体に覚え込ませていきます。つまり、MRC矯正とは「装置によるサポート」と「トレーニングによる筋力強化」の両輪で、歯並びが悪くなる原因そのものを断つ治療法なのです。歯並びはあくまで「結果」であり、原因である筋肉のバランスが整えば、自然と歯はきれいな位置に並んでいくというのが、この治療の基本哲学です。

2. 従来の小児矯正(床矯正・ワイヤー)とはここが違う!対症療法と原因療法の差

多くの親御さんが比較検討されるのが、昔からある「床矯正(しょうきょうせい)」や「ワイヤー矯正」です。これらとMRC矯正は、治療のアプローチ方法が根本的に異なります。分かりやすく言えば、従来の矯正が「対症療法」であるのに対し、MRC矯正は「原因療法」であるという点です。

従来の小児矯正(床矯正)は、取り外し可能なプラスチックのプレートにネジが埋め込まれており、そのネジを回すことで機械的に顎を横に広げていく治療です。目的は「歯が生えるためのスペースを物理的に確保すること」にあります。確かに顎は広がりますが、なぜ顎が小さくなってしまったのかという「原因(口呼吸や舌の癖)」にはアプローチしません。そのため、装置の使用をやめると、筋肉の圧力によって再び顎が狭くなり、歯並びが元に戻ってしまう(後戻り)リスクがあります。また、ワイヤー矯正は、歯に直接力をかけて強制的に移動させる治療であり、非常に確実性は高いですが、痛みを伴いやすく、見た目も目立ちます。また、抜歯が必要になるケースも少なくありません。

一方、MRC矯正は「なぜ歯並びが悪くなったのか」という原因に着目します。顎が小さいのは生まれつきの遺伝だけではなく、舌が正しい位置になく、上顎を内側から支えられていないことが大きな要因です。MRC矯正では、舌の筋肉を鍛え、正しい位置に置くことで、内側から自然な力で顎を広げていきます。機械的な力ではなく、ご自身の成長力と筋肉の力を利用するため、痛みがほとんどなく、お顔立ちも自然でバランスの取れたものになります。また、原因である癖が治っていれば、治療後もきれいな歯並びが維持されやすく、後戻りのリスクが低いのも大きな特徴です。ただし、装置を入れてネジを回せば広がる床矯正とは異なり、MRC矯正はお子様本人が真面目にトレーニングに取り組まなければ全く効果が出ないという、能動的な努力が必要不可欠な治療でもあります。

3. なぜ「口呼吸」と「舌癖」で歯並びが悪くなるのか?筋肉と骨の深い関係

MRC矯正で最も重要視されるのが「口呼吸(こうこきゅう)」と「舌癖(ぜつへき)」の改善です。なぜこれらが歯並びに悪影響を及ぼすのか、そのメカニズムについて詳しく解説します。

まず、正常な状態(鼻呼吸)では、お口は軽く閉じられ、舌の先端は上顎の前歯の少し後ろにある「スポット」と呼ばれる位置にあり、舌全体が上顎の天井(口蓋)に吸い付いています。この時、上顎の骨は舌によって内側から強く押されて支えられています。一方、外側からは頬や唇の筋肉が歯列を押さえています。この「内側からの舌の力」と「外側からの頬・唇の力」が釣り合っている場所に、歯はきれいに並びます。また、舌が上顎を押し広げることで、顎は大きくU字型に成長し、歯が並ぶスペースが確保されます。

しかし、口呼吸で常にお口がポカンと開いているとどうなるでしょうか。呼吸の通り道を作るために、舌は上顎から離れて下顎の中にだらんと落ちてしまいます(低位舌)。すると、上顎を内側から支える力がなくなります。その一方で、開いた口の周りの筋肉や頬の筋肉は緊張し、外側から歯列を内側へと押し込む力がかかり続けます。この不均衡により、上顎のアーチは狭く押しつぶされ、V字型に変形してしまいます。その結果、歯が生える場所がなくなり、ガタガタの歯並び(叢生)や出っ歯(上顎前突)になってしまうのです。

また、「舌癖」の一つである「逆嚥下(ぎゃくえんげ)」も問題です。正しい飲み込み方は、舌を上顎に押し付けて行いますが、舌癖のある子は、舌を前歯の裏に押し付けたり、上下の歯の間に挟んだりして飲み込みます。人間は1日に600回〜2000回も飲み込み動作を行うと言われています。そのたびに間違った方向に力がかかり続けることで、前歯が前に押し出されて出っ歯になったり、上下の前歯が噛み合わない開咬(かいこう)になったりします。MRC矯正では、こうした「歯並びを壊す力」を排除し、本来あるべき筋肉のバランスを取り戻すことを最優先課題としています。

4. 治療の効果を最大化するための適齢期と、向いている子・向いていない子

MRC矯正は、開始する時期によって効果が大きく変わる治療法です。適切なタイミングを逃さないことが成功への鍵となります。

治療の適齢期(ゴールデンエイジ) MRC矯正が最も効果を発揮するのは、「5歳から10歳頃」の成長期です。具体的には、前歯が生え変わり始める混合歯列期の前期から中期にかけてがベストタイミングです。この時期は上顎の骨の成長がピークを迎えており、少しの筋肉の変化で骨格的な改善が見込めるからです。また、悪習癖(口呼吸などの癖)がまだ頑固に定着しておらず、トレーニングによって改善しやすい時期でもあります。12歳を過ぎてすべて永久歯に生え変わってしまうと、顎の成長も止まってくるため、MRC単独での治療は難しくなり、本格的なワイヤー矯正などが必要になるケースが増えます。

MRC矯正が向いている子

  1. お口がいつも開いている子:原因が明確であり、口呼吸を治すだけで劇的に改善する可能性があります。
  2. 素直でモチベーションが維持できる子:毎日1時間の装着とトレーニングをコツコツ続けられる子が成功します。
  3. 親御さんの協力が得られる家庭:お子様任せにせず、親御さんが一緒にトレーニングを楽しんだり、褒めて伸ばしたりできる環境が必要です。

MRC矯正が向いていない子

  1. 鼻炎やアレルギーが重度で鼻呼吸ができない子:MRCは鼻呼吸が前提の治療です。物理的に鼻が詰まっている場合は、まず耳鼻科での治療を優先しなければなりません。
  2. 装置を嫌がって絶対に入れない子:感覚過敏などで、どうしてもマウスピースを口に入れられない場合は治療が進みません。
  3. ご家庭での管理が難しい場合:忙しくて見てあげられない、お子様が嫌がっても放置してしまう場合は、効果が出ずに中断してしまうことが多いです。
  4. 骨格的な異常が著しい場合:極端な受け口(下顎前突)など、遺伝的な骨格要因が強すぎる場合は、MRCだけでは限界があります。

5. 治療を受けることによる身体的・経済的・精神的なメリットとデメリット

MRC矯正を検討する上で、どのようなメリットとデメリットがあるのかを総合的に理解しておくことが大切です。

身体的メリット 最大のメリットは「健康な体が得られること」です。口呼吸から鼻呼吸に変わると、空気中のウイルスや細菌が鼻のフィルターで除去されるため、風邪やインフルエンザにかかりにくくなります。また、アレルギー性鼻炎や喘息の症状が軽減することもあります。さらに、十分な酸素が脳に供給されるようになり、睡眠の質が向上し、集中力や学習能力のアップにもつながります。顔立ちに関しても、口元が引き締まり、顎のラインが整ったバランスの良い顔貌に成長します。

経済的・精神的メリット 小児期にMRC矯正で土台を整えておくことで、将来的に高額な成人矯正(ワイヤー矯正など)が不要になる可能性が高くなります。仮に必要になったとしても、抜歯をせずに短期間の部分矯正で済むことが多く、トータルの治療費を抑えることができます。精神面では、早い段階で見た目のコンプレックスを解消できるため、自己肯定感が育ち、人前で明るく振る舞えるようになります。

デメリットとリスク デメリットは、やはり「本人の努力と家族のサポートが必須」である点です。装置をつけて寝るだけでは治りません。トレーニングをサボれば結果は出ず、期間だけが延びてしまいます。また、即効性がないため、変化が見えるまでに時間がかかります。費用に関しては自費診療となるため、初期費用としてある程度まとまった金額(医院によりますが30万〜50万円程度が相場)が必要になります。しかし、将来の健康への投資と考えれば、決して高いものではないと言えるでしょう。

6. よくある質問(Q&A)と治療成功の鍵を握る家庭での役割

診療室でよくいただくご質問にQ&A形式でお答えします。

Q. 痛くないですか?子供が嫌がりませんか? A. ワイヤー矯正のような歯を締め付ける痛みはありません。ただし、使い始めの頃は、慣れないマウスピースを入れる違和感や、トレーニングでお口周りの筋肉を使うことによる筋肉痛のような疲れを感じることがあります。また、口内炎ができることもありますが、調整可能です。ほとんどのお子様は1〜2週間で慣れて、自然につけて寝られるようになります。

Q. 学校にしていく必要はありますか? A. 学校につけていく必要はありません。ここが大きなメリットです。MRC矯正の装着時間は「日中の1時間以上」と「就寝時」です。家に帰ってから宿題をしている時、テレビを見ている時、ゲームをしている時などに1時間装着し、あとは寝る時につければOKです。お友達に知られずに矯正が可能です。

Q. 治療期間はどれくらいですか? A. お子様の年齢や歯並びの状態、トレーニングの頑張り具合によって個人差がありますが、一般的には「2年〜3年程度」が目安です。最初の1年で悪い癖を治して歯並びを整え、その後の期間で後戻りしないように筋肉の状態を安定させていきます。

親御さんの役割:最強のサポーターになること MRC矯正の成功率は、親御さんの関わり方に比例すると言っても過言ではありません。まだ小さなお子様にとって、毎日同じトレーニングを続けることは退屈で大変なことです。「やりなさい!」と叱るのではなく、「一緒にやろう!」「上手になったね!」と励まし、小さな変化を褒めてあげてください。カレンダーにシールを貼ったり、ご褒美を用意したりして、ゲーム感覚で楽しく続けられる工夫をしましょう。親子のコミュニケーションの時間として前向きに取り組むことが、お子様のやる気を引き出し、治療を成功へと導きます。

まとめ

MRC(マイオブレース)矯正について解説しました。

  1. 定義:MRC矯正は、歯並びを悪くする根本原因(口呼吸・舌癖)を改善し、顎の健全な成長を促す「原因療法」の予防矯正システムです。
  2. 違い:機械的に顎を広げる床矯正や、歯を強制的に動かすワイヤー矯正とは異なり、筋肉の機能を正すことで自然に歯並びを整えます。
  3. 原因:お口ポカン(口呼吸)や間違った飲み込み癖が、顎の成長を阻害し、歯並びを悪くする最大の要因です。
  4. 適齢期:5歳〜10歳頃の成長期がベストタイミングです。鼻呼吸ができ、家庭での協力が得られるお子様に向いています。
  5. メリット:歯並びだけでなく、風邪を引きにくい体、集中力アップ、顔貌の改善など、全身の健康に寄与します。

「歯並びは遺伝だから仕方がない」と諦める前に、お子様の「呼吸」や「お口の癖」に目を向けてみてください。MRC矯正は、お子様が本来持っている成長の力を引き出し、一生涯続く健康という素晴らしいギフトを贈ることができる治療法です。 愛知県津島市のたかしま歯科では、お子様一人ひとりの性格や生活環境に合わせた無理のないトレーニング指導を行っています。お子様のお口ポカンや歯並びが少しでも気になる場合は、手遅れになる前に、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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